弁護士コラム

【コラム】「相続欠格」と「推定相続人の廃除」の違い
~正しく制度を利用して、安心の遺産分割協議を~

2022.05.03
【コラム】「相続欠格」と「推定相続人の廃除」の違い~正しく制度を利用して、安心の遺産分割協議を~

こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。

このブログでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。

頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。

今日は「相続欠格」と「推定相続人の廃除」のお話です。聞き慣れない制度かもしれませんが、これを知らないと、場合によっては相続争いで大きく揉めてしまうことがあります。

相続にかかわる制度の中でも、事前に知っておくことが特に重要な分野ですので、お時間のあるときにぜひご覧ください。

「相続欠格」とは

相続欠格とは、本来は法定相続人である人物が、さまざまな事情によりその資格を喪失することです。

その“事情”には、故意に被相続人や共同相続人を死亡させた・死亡させようとした、被相続人が殺害されたことを知りながら告訴・告発しなかった、詐欺・強迫で被相続人の遺言行為を妨げたことなどが該当します(他にもたくさんあります)。

相続欠格者は、遺産分割協議への参加も、遺産相続もできません。ただし、代襲相続は発生します。ある人物が相続欠格者となり被相続人である親の遺産の相続人でなくなった場合も、子ども(被相続人の孫)は相続ができます。

相続欠格が確定するまでの流れ

相続人自身が相続欠格者であることを認めている場合には、その証明書を作成させ、事実を確定した上で、その相続人(もう相続人ではありませんが)を除いた相続人で遺産分割協議を行います。

一方で自身が相続欠格者だと頑なに認めない場合には、他の相続人が原告となって訴訟を起こす必要があります。裁判で当該相続人が相続欠格にあたるという判決が出て確定すれば、あとは本人が認めている場合と同様、それ以外の相続人で遺産分割協議を行います。

被相続人の意志で請求できる「推定相続人の廃除」

相続が開始したときに相続人になるはずである人のことを「推定相続人」と呼びます。

この推定相続人にひどい非行がある場合、被相続人は家庭裁判所に「推定相続人の廃除」を請求することができます。これはつまり、推定相続人から相続資格をはく奪してください、というお願いです。

ここでの非行とは、違法行為にまでは至らない被相続人への肉体的・精神的虐待などのことを指します(他にもたくさんあります)。通常そういった行為が相続人に相応しいはずはありませんので、被相続人の意志で推定相続人から相続資格を取り上げることができるよう、この制度が定められています。また、推定相続人の廃除は、後に取り消すことが可能です。この点も、相続欠格とは異なります。

一方で、代襲相続については、相続欠格と同様、発生します。

推定相続人の廃除の請求は、十分な準備が必要

推定相続人の廃除は、相続欠格と比べると、該当するかどうかの判断が難しいという側面があります。そこで重要になるのが、裁判所に認めてもらえる、客観的な証拠の収集です。

被相続人が推定相続人の廃除を請求するまでに、計画的に証拠を集めておく必要があります。被相続人の心身が元気なうちに弁護士に相談し、廃除の請求を見越した準備を進めておくことを強くおすすめします。

相続人が相続欠格にあたるかもしれない、推定相続人の廃除を考えているというときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。

相続欠格、推定相続人の廃除のいずれにおいても、状況は千差万別で、専門家と個別に検証しておくことが大切です。ご依頼者様の心情にも十分に配慮したサポートを行って参ります。

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