弁護士コラム

【コラム】賃料(家賃)増額請求について

2024.08.15
【コラム】賃料(家賃)増額請求について

JR王寺駅からすぐの桐山法律事務所では、このブログを通じて皆様に法律に関する幅広い知識と実践的なアドバイスを提供して参ります。日々の生活の中で直面する可能性のある様々な法律問題について、わかりやすく、かつ具体的に解説していくことで、皆様がより良い判断を下せるよう支援いたします。

交通事故問題、相続問題、離婚問題、不動産問題など、多岐にわたる法律分野における情報や有益な知見をお届けして参ります。

今回は“賃料(家賃)増額請求”についてです。

賃料(家賃)増額請求ができる場合とは?

所有される賃貸住宅等について、税負担の増大、建築費等の上昇などにより、賃料(家賃)を増額したいとお考えになることがあることと思います。その際にご留意頂きたい点などについてご説明いたします。

賃料(家賃)増額請求ができるのは、借地借家法第32条に定められた次の事情等により、現行賃料が不相当となった場合です。

 

1)土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減

2)土地もしくは建物の価格の上昇または低下その他の経済情勢の変動

3)近傍同種の賃料に比較して不相当となったとき

4)増額しない旨の特約が無い場合

 

なお、増額の請求ができるのは将来の賃料(家賃)となり、遡って請求することはできません。

また、この請求権は、一方的な意思表示によって、賃料(家賃)増額の効果を生じさせることとなり、相手方がその額を不相当とする場合、調停・裁判で争うこととなります。

賃料(家賃)の増額を交渉するには?

上記の事情等により不相当となった場合、借地借家法第32条の請求をする前に、賃貸借契約書の賃料改定条項等を足掛かりに、協議により合意できるように交渉をするのが一般的です。

交渉の開始時期は?

契約期間の途中から賃料(家賃)の増額を請求することは可能ですが、通常、契約期間中は、契約時の賃料(家賃)が継続されることを想定しているため、契約更新時に合わせて、更新時点の相当期間前から交渉を開始しましょう。

継続賃料とは?

現行の賃料は、継続賃料といわれ、現行の賃貸借契約を前提として、当該契約の貸主と借主の間に成立する賃料です。また、新規賃料は、新たな契約関係を前提として、需要と供給の市場原理のもとに成立する賃料となります。

増額される継続賃料は、一般的に、現行の賃料を超え、新規賃料未満の額となる場合が多くなります。

留意すべき費用について

1)新規賃料が継続賃料より有利なため、新規募集を前提に交渉する場合、空室の経済損失や新規募集に伴う仲介手数料、広告費、フリーレントなどの費用を賃料増額分と比較考慮する必要があります。

2)協議が難航し、調停・裁判となった場合、不動産鑑定費用や訴訟費用などを賃料増額分と比較考慮する必要があります。

3)賃料(家賃)が増額された場合、滞納のリスクが相応高まりますので、敷金(保証金)の増額も検討する必要があります。

賃料(家賃)の増額交渉を誰に委託する?

賃料(家賃)の増額交渉の代理は、法律事務と考えられ、非弁行為(弁護士法72条)に該当し、弁護士でない者に委託することはできません。ただし、現行の賃貸借について、最も詳しく事情等を知るのは管理会社等になるため、弁護士と管理会社等が連携できる体制が望ましいと考えられます。

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