弁護士コラム

【コラム】共有名義の不動産の相続
~一見平等なようでもトラブルが起こりやすい~

2022.03.03

こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。

このブログでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。

頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。

本日は、共有名義の不動産で起こりやすいトラブルをご紹介します。トラブルを回避するために、今からできることもあります。ぜひ、ご覧ください。

共有名義とは

不動産などのモノを複数の人で所有することを「共有」と言います。このとき、各共有者が「持分」に応じた権利を持ちます。当然、持分の割合が高い共有者ほど、そのモノに対する強い権利を持ちます。

そして、このようにして共有する不動産を複数人の名前で登記している状態を「共有名義」、その名義に名前を連ねている人を「共有名義人」と呼びます。

トラブルが起こる代表的なパターン

①意見が合わずに揉める

不動産の売却や改築、抵当権の設定などの「変更」を行う場合には、共有名義人全員の同意が必要です。また、不動産を賃貸物件として出したり、賃貸借契約を解除する「管理」を行うには、(頭数ではなく)持分において過半数の同意が必要です。

このような不動産の「変更」「管理」を行う際、共有名義人同士の意見が合わず、揉めることがあります。

②不動産の使用で揉める

共有名義人は、持分に応じて共有する不動産を使用することができます。

ただ、複数の共有名義人がその不動産の単独使用を希望する場合には、その使用の権利の奪い合いで揉めることになります。

なお、単独で不動産を使用している共有名義人に対して、他の共有名義人は「使用料」を請求することができる一方で、強制的に退去させることはできません。

③固定資産税を支払ってもらえない

不動産登記を共有名義としている場合、固定資産税は納付用紙の送付または引き落としによって、一時的に形としては代表者が負担することになります。他の共有名義人も持分に応じた支払いが必要ですが、代表者が呼びかけても応じてくれないことがあります。

④相続の際に持分が複雑になる

共有名義人のうち誰かが亡くなったとき、その名義は持分とともに相続人に引き継がれます。しかし、相続人が複数いる場合には、共有名義人の数が増えます。そういったことが重なると、誰がどれだけの持分割合を有しているのか分からなくなることがあります。

また、共有名義人が増えることで、連絡がつかないなどのトラブルが起こる可能性が高くなります。

トラブルを回避するために

相続開始前に持分の売買などで共有名義を解消しておくことで、不動産を単独名義で相続させることが可能です。

また、遺言書を作成し、共有名義の不動産の持分を1人の相続人に単独で相続させるという方法も有効でしょう。遺言書がない場合にも、遺産分割協議の際に相続人同士が相談・合意した上で、同様に共有名義の不動産の持分を1人の相続人に単独で相続させることができます。

トラブルが起こってからでは対応が難しい

実際にトラブルが起こった場合でも、遺産分割協議で話し合いを重ねて名義や持分を整理したり、共有状態を解消するなどして、なんとか丸く収めるということは可能です。

しかし多くの場合、一度起こってしまったトラブルの完全な解消は困難です。裁判所での調停や審判に判断を仰ぐことになり、相続が長引いたり、相続人のあいだでしこりが残ったりということは決して珍しくありません。

共有名義の財産があり今後のことが不安、すでに揉め事が起こっている、相続開始前に対策を講じておきたいというときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。

共有名義の問題だけでなく、相続にかかわる問題を包括的にサポートいたします。

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