こんにちは。
奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。
このコラムでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。
頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。
本日は、上場株式の相続方法、注意点などについてのお話です。被相続人が株取引をしていた、株をやっているという話をきいたことがあるという場合には、ご参考ください。
株式の振替までの全体の流れ
まずは、被相続人が利用していた証券会社を調べます。これは、証券会社からの通知書、インターネット上の記録などがあれば判明します。その証券会社に連絡し、被相続人が亡くなったこと、名義の変更をしたいことを伝えましょう。必要書類を揃えて提出し、新たに証券口座を作り(すでに相続人名義の証券口座がある場合は不要)、そこに株式を振り替えてもらうという流れになります。
どの証券会社なのかが分からない場合には、「証券保管振替機構」に問い合わせると、必要書類の提出後、証券会社を含めた株式の取引情報を教えてもらえます。
株式の遺産分割方法
株式の遺産分割においては、①株式をそのまま相続人(複数人でも可)で相続する方法、②相続人(複数人でも可)がすべての株式を相続し、株式を相続しなかった他の相続人に代償金を支払う、という方法があります。相続人のうちの誰か1人でも、あるいは全員が株式の相続を希望している場合に適しています。
「②」の中にある代償金とは、ある相続人が株や不動産などの現物財産を相続する代わりに、代償として他の相続人に支払うお金のことです(代償分割)。
株のことはよく分からない、持っていたくないという場合の遺産分割方法
あるいは、③株式を売却して得たお金を相続人で分割する、という方法もあります。こちらは、誰も株のことがよく分からない、運用していく自信がないといった場合などに適しているでしょう。
ただ当然ながら、売却時の株価が低ければ、株式を相続して引き続き運用した場合と比べて損をする、ということも起こり得ます。
株式の相続手続きを怠るとあとあと大変です
財産に株式が含まれているのに、その株式の相続を行っていないと、相続人全員でその株式を「準共有」している状態になります。
この場合、配当金が出るたびに、相続人のあいだで分配しなければなりません。また、株主権を行使するためには、相続人のうちから権利行使者を選び、さらにその株式会社へと通知する必要があります。
準共有状態であることにメリットはありませんので、「よく分からないから」「株式があると知らなかったから」といって放置するのはおすすめしません。
なお、株式を相続するか否かを判断する場合、その株式にどれくらいの価値があるかを正確に知ることが大切になります。株式の価値基準の1つである「相続税評価額」などの調査が必要です。
「相続財産に株式が含まれている・含まれているかもしれない」「どうやって相続したらいいのか分からない」というときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。税理士等と協力しながら、ワンストップでサポートさせていただきます。