こんにちは。
奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。
このコラムでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。
頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。
本日は、未登記建物を相続するときに行うべきこと、注意すべきことについてお話しします。
「登記」「未登記建物」とは
「登記」とは、土地や建物などの不動産の所在地・面積・所有者・担保の有無などの権利関係を登記簿に記載することです。不動産の所有権を取得した人は、その所在地を管轄する法務局で、必ずこの登記をしなければなりません。
そして「未登記建物」は、文字通り登記されていない建物のことを指します。かつて登記が徹底されていなかった時代の名残で、未登記建物は現在もなお存在しています。
未登記建物を相続する際の義務
登記簿は、不動産の物理的情報を記載した「表題部」と、権利にかかわる情報を記載した「権利部」に分かれています。
そして被相続人が所有していた未登記建物を相続したとき、その相続人は1ヵ月以内に法務局へ「表題登記(表題部の登記)」の申請を行う義務があります。
「表題登記」と併せて「所有権保存登記」の申請も
表題登記の申請の際、一緒に「所有権保存登記」の申請も行うのが一般的です。所有権保存登記とは、最初に行われた所有権の登記のことを指します。
表題登記、所有権保存登記を“しない”という選択をする人も実際にはいますが、おすすめしません。自身の所有権を客観的に証明できないため、将来売却する際に支障が出たり、売却できないということが起こり得るためです。さらに、抵当権の表示もできないため、その未登記建物を担保にして融資を受けることがほぼ不可能になります。
遺産分割協議書の作成の際には、未登記建物の調査を
未登記建物も、遺産であることには変わりありません。そのため、正しく調査し、正しく相続税を申告する必要があります。
ただ、未登記建物は、法務局の登記簿に記載がありませんので、調査のためには「固定資産納税通知書」の確認が必要になります。通常、未登記建物でも課税はされているためです。ただ、非課税の物件は納税通知書に記載されないことがあるため、併せて市区町村役場の資産税課で名寄帳の確認も行ってください。
未登記建物を相続する際には表題登記をしなくてはならないこと、また同時に所有権保存登記もしておいた方が後々に困らないということ、協議書を作成する際には固定資産納税通知書や名寄帳の確認が必要であること、お分かりいただけましたでしょうか。
この他にも、細かな注意点はいくつもあります。相続する遺産に未登記建物が含まれている・含まれているかもしれないというときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。相続や登記にかかわるご依頼にワンストップでお応えします。