弁護士コラム

【コラム】配偶者がいない、子どももいないというときの相続~
まずは「現状の把握」を~

2021.05.03

こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。

このコラムでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。

頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。

本日は、「配偶者も子どももいない」というときの相続について解説します。

配偶者も子どももいない場合の法定相続人

法定相続人となる「配偶者」も「子」もいない場合、法定相続人で次の順位にある「父母」が財産を相続します。そして父母もいない場合には、その次の順位にある「兄弟姉妹」が財産を相続します。兄弟姉妹もいない場合には、以前のブログでお話しをした“代襲相続”として、甥姪が財産を相続することになります。

法定相続人がおらず、かつ財産を相続させたい人がいない場合の相続

法定相続人がおらず、遺言などによって財産を相続させたい人もいない場合には、家庭裁判所より「相続財産管理人」が選定されます。そして“この人の相続人がいれば申し出てください”という公告がなされます。それでも見つからない場合には、借金などがあればその債権者へ、生前に生計を共にしていた方へ、生前に療養看護に努めた人があればその方へ、あるいは国庫へと財産が渡ります。

このように、生前に何も対策を打っていなければ、消去法的な財産の行き先の決定が行われることになります。死んだあとの財産の行き先なんてどうでもいい!という場合は別として、“どうなるかはっきり分からない”まま、不安を感じている方は少なくありません。

遺言書の作成で、自身の意思を反映させた相続を

こういった事態を避けるためおすすめしたいのが「遺言書」の作成です。

法定相続人がいなくとも、この人にこの財産を相続させたいということを、正しい形で記載し保管すれば、相続発生後にその内容に従った相続が行われます。ただし、配偶者と子がいなくても、父母が存命の場合、子の代襲者としての孫がいる場合などは、最低限の相続割合が保障される「遺留分」に注意しなくてはなりません。遺留分を侵害してしまうと、遺留分侵害額請求により、遺言書の通りには財産が相続されないことがあります。

任意後見契約で、老後の安心を

こちらは、相続発生後というよりも、それ以前の生活を安心して送るためにおすすめしたい内容です。

任意後見契約とは、判断能力が十分であるうちに、信頼できる近親者・友人・弁護士などと結んでおく契約です。その後認知症などで判断能力が低下してしまったときに、生活・療養看護・財産管理などを、任意後見人として代理・サポートしてもらえます。

「自分の死後、財産はどうなるのだろう?」と不安を感じながらも、その確認をなんとなく後回しにしてしまうというケースは少なくありません。大切な財産を大切な人へと相続させるため、また相続発生後のトラブルを防ぐため、まずは現状では相続発生後にどのような相続がなされるのかを把握しておくことが大切です。

特に配偶者も子どももいないという場合には、生前に相続の話題が持ち上がりづらい、事務的なお手伝いを受けづらいこともあり、“財産状況・相続人を把握しきれていない”とういところでストップしている方がよく見られます。お困りの方は、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。現状の把握から、遺言書の作成など生前にできる対策のサポートまで、しっかりと対応させていただきます。

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