弁護士コラム

【コラム】不満の残る遺言書を無効にしたい
~どんなときに無効になるのか~

2021.02.20
【コラム】不満の残る遺言書を無効にしたい~どんなときに無効になるのか~

こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。

このブログでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。

頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。

本日は、遺言書の内容に不満があるとき、それを無効にできるかどうかのお話です。どんなときに無効になるか、無効になればどうやって相続を決定するのかについても触れていきます。

遺留分があり、侵害されている場合には、遺留分侵害請求を

まず、一定の範囲に相続人には、相続する財産の最低限度を指す「遺留分」が認められています。遺言書によって遺留分が侵害されている(下回っている)ときには、侵害した側に対して、「遺留分侵害請求」を行うことができます。このことは、以前のブログでお話ししましたね。

相続人全員の合意が得られれば、遺産分割協議によって相続を決定できる

遺留分が認められたとしても不満だという場合には、相続人全員の合意を得ることで、遺産分割協議を行い、相続を決定することができます。言い方は悪いですが、“遺言を無視して”相続を決められるということです。

そもそも“遺言書の形式・内容に不備があり無効”という可能性も

遺言書は、遺言者自身が作成し自宅などに保管する「自筆証書遺言」、公証人に作成・保管してもらう「公正証書遺言」、遺言者自身が作成・保管しその存在を公証役場で証明してもらう「秘密証書遺言」に分けられます。必要な署名や押印がない、正しい手続きを踏まずに内容が変更されている、“託す”“管理させる”などの曖昧な書き方をしたなどの理由によって遺言書が有効でない、つまり無効となった場合も、その内容を無視して、相続人による遺産分割協議をすることになります。

無効になったあとの遺産分割協議が重要

遺留分の制度を利用する場合を除けば、遺言書を無効とするためには、上記の通り基本的には「相続人の合意を得るか遺言書の不備を見つけて遺産分割協議に持ち込む」ことが必要になります。

ただ、協議に進めたとしても、ただ自分の不満をぶつけるだけに終始すると、当然ながら合意を得ることは難しくなります。遺言書が無効になったとしても、そう簡単に決着するとは限らないのです。「遺言書が有効か・無効か」という押し問答のあとのことですので、むしろ通常の場合より、協議は揉めやすいと言えるでしょう。できるだけ、弁護士をあいだに挟むことをおすすめします。

遺言書の内容に不満がある、遺言書が本当に有効なのか知りたい、遺産分割協議に進んだときに備えたいというときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所にお気軽にご相談ください。

もちろん、しっかりと効力を残す遺言書を作りたいという方からのご相談も承っております。

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