こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。
このブログでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。
頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。
本日は、生前贈与や遺留分についてのお話です。また、不動産の生前贈与で遺留分が侵害されたときの請求についてご説明します。
節税効果の期待できる生前贈与
生前贈与とは、被相続人が存命のうちに、財産を他者に無償で与えることを指します。金銭、不動産、有価証券、宝石・貴金属なども、財産として生前贈与が可能です。110万円までは贈与税の対象とならないことから、節税の手段としてよく活用されていることは、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
遺留分と遺留分侵害額請求
遺留分とは、一定の法定相続人に対して認められる、相続する財産の最低限度のことを指します。たとえば、二人いる法定相続人の片方に被相続人の全財産が生前贈与された場合には、もう片方の法定相続人にとっては“遺留分が侵害された”ということになります。
このとき、遺留分を侵害された側は、侵害した側に対して、侵害分を金銭として請求することができます。これを、「遺留分侵害額請求」と呼びます。
不動産の生前贈与が遺留分を侵害したとき
土地や建物の生前贈与で遺留分が侵害されたときにも、不動産価格に応じた金銭の支払いを請求することができます。なお、これは遺留分制度の改正によって可能になったものですので、2019年7月1日以降に相続が開始されたケースに限られます。
それ以前に相続が開始されたケースでは、不動産そのものが遺留分の請求の対象となります。不動産を取り戻すことが可能である一方、土地や建物といった分けにくい財産を未分割状態で共有することとなり、分割のための訴訟に至ってしまうことがあります。
遺留分侵害額請求権の時効に注意
遺留分侵害額請求権は、相続の開始または遺留分の侵害があったことを知ってから1年で時効を迎えます。それ以降に請求を申し立てても、時効が過ぎたことを相手方が主張すれば、請求権は消滅してしまいます。(相続開始から10年が経過した場合も同様に消滅します)
時効による請求権の消滅を避けるため、また正確に計算した金額を請求したり、後々にしこりを残さず円満な解決をするためにも、お早目に弁護士にご相談されることをおすすめします。
ここまで、生前贈与や遺留分、遺留分侵害額請求の大枠をご説明しましたが、参考になりましたでしょうか。困ったときには、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。
相続にかかわるお悩み相談全般を承っております。円満な相続のための遺言書の作成もお任せください。