こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。
このコラムでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。
頭の隅でご記憶いただき、いつか問題に直面したときに「そういえばこんな話をきいたことがあったな」と思い出してもらえれば嬉しいです。
本日は、仕事中・通勤中の交通事故での労災保険の使用についてご説明します。
仕事中・通勤中の交通事故には、『自賠責保険+任意保険』に加えて『労災保険』も
交通事故に遭ったときにその補償について考えると、加害者が加入している自賠責保険と任意保険の使用がまず思い浮かぶのではないでしょうか?
しかしその事故が仕事中、または通勤中に起こったものであった場合には、あわせて労災保険も使用できます。
労災保険を申請することで受けられる補償がある
『自賠責保険+任意保険』と『労災保険』の両方を利用する場合、たとえば治療費や休業補償を二重でもらえるということはなく、支給調整が行われます。
ただ、労災保険からの「特別支給金」「労災就学等援護費」「長期家族介護者後援金」などについては、「社会福祉的観点から支給されるもの」として、支給調整はありません。
簡単に言えば、労災保険を申請していない人は損をすることがある、ということです。
どの保険で何の補償を受けるかが大切
その上で注意するべきなのが、どの保険で何の補償を受けるか、ということです。
たとえば、労災保険での休業補償は事故前の収入の8割ですが、任意保険+自賠責保険であれば10割が補償されます。
どの保険で何の補償を受けるかで、最終的な支給額や支給方法(年金支給か一時金か)などが変わってくるのです。
労災保険の申請のためには、第三者行為災害届、交通事故証明書、念書、自賠責保険等の損害賠償金等支払証明書または保険金支払通知書などの書類を提出する必要があります。
まずは会社に申請の相談を
仕事中や通勤中の交通事故は、基本的に会社に責任はありません。
そのため、労災保険を使ったからといって、会社が支払う労災保険料が高くなるということもありません。
ただ、手続きを面倒くさがったり、大ごとにしたくないという心理が働き、会社が労災保険の申請を渋るケースも残念ながら存在します。
本人が労働基準監督署に直接相談・申請をすることも可能ですが、少なくとも何度かは会社にかけあってみてください。
直接相談をして労働基準監督署からの協力要請を受けると、会社側も「ちゃんと相談してくれれば対応したのに…」とあまり良くない印象を持つことがあります。
交通事故の労災保険申請でお困りごとがございましたら、奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談ください。
事故に遭われた方の強い味方となり、労災保険申請の手続きや会社との交渉などをサポートさせていただきます。