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【コラム】不在者財産管理人とは?~相続人に行方不明者がいる場合の遺産分割協議での役割~

不在者財産管理人とは?

こんにちは。奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所の弁護士・桐山修一です。

このコラムでは、見落としがちな法律や制度についての記事をアップしていきます。

本日は、相続人のうちの誰かが行方不明である場合の、不在者財産管理人を立てる方法についてのお話です。

行方不明になった相続人の代理人「不在者財産管理人」

遺産分割協議では相続人全員の同意が必要ですので、行方不明者がいては話し合いが進みません。そういった場合に、他の相続人や行方不明者の配偶者などの利害関係人が家庭裁判所に申し立てることで、行方不明になった相続人の代理人「不在者財産管理人」を選任することができます。(申立人は候補者を立てることができますが、選任を決定するのは家庭裁判所です)

選任された不在者財産管理人は、不在者に代わって財産を管理します。遺産分割協議の場合であれば、家庭裁判所から「権限外行為許可」を得た上で、遺産分割協議書の作成・押印をし、遺産分割を成立させることができます。

なお不在者財産管理人は、相続に関係のない被相続人の親族、弁護士などの専門家を候補にたてるのが一般的です。

不在者財産管理人の職務

選任された不在者財産管理人は、不在者の財産調査、財産目録の作成・家庭裁判所への提出のすみやかな実行が求められます。その後も継続的に年に1度、財産管理について家庭裁判所に報告します。

そのあいだの職務として、①不在者の財産の保存、②不在者の権利を変えない範囲での利用・改良も行います。

遺産分割協議への参加も職務の一環という位置づけなので、遺産分割協議が終われば選任から外れるわけではない点に注意が必要です。

不在者財産管理人でなくなるケース

①不在者が現れたとき、②不在者の失踪宣言がなされたとき、③不在者の死亡が認められたとき、④不在者の財産が消失されたときに、不在者財産管理人の職務は終了します。

また、財産を不正に利用したときにも解任されます。その場合、損賠賠償請求を受けたり、刑事責任を問われることもあります。

適切に職務を全うしてもらうためにも、できる限り、不在者財産管理人には法律の知識を持った専門家を立てることをおすすめします。

選任にかかる費用

家庭裁判所への申し立ての際の収入印紙800円分、連絡のための切手代が必要です。加えて、弁護士を不在者財産管理人に選任する場合には、その財産管理の煩雑さに応じて報酬(月に1~5万円程度)も発生します。これらは不在者の財産から支払われます。一方で、親戚などを不在者財産管理人に選任する場合、通常報酬は請求しません。

また、不在者の財産が少なく、弁護士等への報酬の支払いが困難と家庭裁判所が判断した場合には、家庭裁判所から申立人に対して、予納金(30~100万円程度)の納付が求められます。予納金は、弁護士等への報酬や経費などに使用され、返還はありません。

一度選任された不在者財産管理人は、原則として変更することができません。親戚を候補に立てて選任されたが職務を正しく遂行してくれないからやっぱり弁護士に頼もう、ということができないということです。また、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加する場合に必要な「権限外行為許可」を取得するには、半年ほどの時間がかかります。

ですので、相続人となり得る方が行方不明である場合には、ぜひ一度弁護士に、お早目にご相談ください。

奈良のJR王寺駅からすぐの桐山法律事務所へご相談いただけましたら、不在者財産管理人にかかわる課題を含めた、相続全般のサポートをご提案いたします。

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